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まちづくりに欠かせない‟地域の文化財”!種類や活用方法とは?まちなみ保存で地域活性化!

ちゃぼけん

まちづくりに関わる‟文化財”って、どんなものがあるのか知っていますか?

「歴史まちづくり」には欠かせない‟地域の文化財”

歴史や文化を後世に伝える文化財の範囲は年を追うごとに拡大していき、
いまやモノだけでなく、
‟地域のまちなみ”までもが文化財として扱われるようになりました。

まちづくりに関わる文化財ってどんなものがあるのでしょうか?

さらに、我が国における文化財保存の動きについても、
あわせて解説していきます!

文化財とは?

文化財とは、日本やその地域の長い歴史や文化の中で生まれ、
多くの人たちによって現在に守り伝えられてきた貴重な私たちの財産です。

その文化財には、古い建物や美術品をはじめ、技術や生活、習わしなどもあります。

文化財は私たちの暮らしや心を豊かにしてくれるものであり、
わが国や地域の歴史、文化などを理解するためには欠くことのできないものです。

また、文化財は未来の文化の創造・発展の基礎となるものであり、
「一度破壊されると二度と再現することが不可能である」という
性格をもっていることから、
現在のわたしたちはこれを保存・活用し、
後世に引き継いでいくことが求められています。

文化財保護法とは?

このような貴重な文化財を守っていくために、
国は「文化財保護法」という法律を定め、法律に基づいた取り組みを進めています。

文化財保護法は
「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的」(法第1条)として、
昭和25年5月30日に制定されました。

また、都道府県や市区町村も、この文化財保護法に基づき、
文化財保護条例という決まりを設けています。

最近、文化財は身近なものになってきた!?

まちづくりに関わる歴史を示す具体的な事物として「文化財」があります。

この文化財という用語はそれほど古いものではなく、
一般的に使われるようになったのは、
戦後、1950(昭和25)年の文化財保護法の制定以後のことです。

ちゃぼけん

まだ70年ほどしか経っていないんですね!

この前年、昭和24年1月26日の法隆寺金堂壁画の消失が、
文化財保護法の制定の直接のきっかけとなりました。

戦前の古社寺保護法(1897<明治39>年)などを前身として制定された文化財保護法で初めて使われた「文化財」という用語は、
現在も名残が感じられますが、
法隆寺や東大寺といった第1級の寺社仏閣を想起させ、
市民の日常生活とはかけ離れた別格のもの、というニュアンスがありました。

文化財保護法の制定から70年を経て、別格であった文化財は、
歴史的な事物を日常生活の範囲にまで拡張させる大きな変化を遂げました。

文化財保護法の改定による1975(昭和50)年の伝統的建造物群保存地区
1996(平成8)年の登録有形文化財制度
そして、2005(平成17)年の文化的景観の創設は、
文化財の範囲拡張の大きな節目でした。

これらは、歴史とまちづくりのかかわりを示す
歴史的環境の保全に対する社会の取り組みの変化を反映しています。

実は6つもある!文化財の種類

何回もの文化財保護法の改正を経てカバー範囲を広げてきた文化財は、
現在、6つのカテゴリーに分類されています。

文化財の6分類
  1. 有形文化財
  2. 無形文化財
  3. 民俗文化財
  4. 記念物
  5. 文化的景観
  6. 伝統的建造物群保存地区

それでは、それぞれの違いについて、順番に見ていきましょう!

①有形文化財

有形文化財は、
寺社仏閣、近代建築、橋などの建造物のほか、
絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書など有形の文化的所産が対象です。

国宝、重要文化財および登録有形文化財は、有形文化財の中から指定・登録されます。

有形文化財のうち重要なものをしてしたのが重要文化財で、
重要文化財から価値が高いものを指定したのが国宝です。

登録有形文化財は有形文化財のうち、保存と活用が特に必要なものが登録されます。

登録有形文化財は、
1996(平成8)年の文化財保護法改正により新たに拡張された文化財で、
これ以前の文化財の指定制度と比べて、
緩やかな選考基準による保護措置を講ずるものです。

この制度の創設の背景には1960年以後の高度経済成長下の急速な都市化があります。

都市化により開発や生活様式・居住形態の変化によって、
江戸から明治、大正、昭和戦前に建設された近代建築が撤去される事例が相次いだことがあります。

この動きに対して、
重要なものを厳選して指定する重要文化財だけでは保護措置が十分でないことから、
より緩やかな選定基準のもとで、
幅広く保護の網をかけることを意図して創設されたものです。

登録有形文化財の件数は2020年1月現在で12,443件に達しており、
登録されるものは以下のように、多岐に渡っています。

登録有形文化財になるものの例
  • 学校、図書館、駅舎などの公共建築
  • 伝統産業施設、店舗、銀行、旅館、ホテルなどの商業建築
  • 工場などの産業関連施設
  • トンネル、橋梁、灯台、ダム、水門などの土木施設 など

登録有形文化財の特徴としては、
営業や居住を続けている商業施設、
ホテル、民家や稼働中の倉庫、工場などの産業施設、
供用されている橋やトンネル、ダム、水門、
あるいは博物館や資料館など
目的を変えて公共施設として活用されている建物なども多くみられ、
歴史とまちづくりの接点となっています。

②無形文化財

無形文化財は、演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産が対象です。

無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に指定し、その保持者等を認定します。

重要無形文化財以外の無形文化財のうち特に記録作成等が必要なものは、
選択無形文化財に選定されます。

③民俗文化財

民俗文化財は、
衣食住、信仰、行事などの風俗習慣である民俗芸能民俗技術
それらに関連する衣服、道具類、家屋などが対象です。

有形の民俗文化財と無形の民俗文化財それぞれの中で
特に重要なものとして重要有形民俗文化財
あるいは重要無形民俗文化財が指定されます。

これ以外に、
有形文化財と同様の登録有形民俗文化財
無形文化財と同様の選択無形民俗文化財の制度があります。

④記念物

記念物は、
貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅などの遺跡
庭園、橋梁、渓谷、海浜、山岳その他の名勝地
および動物、植物、地質鉱物が対象で、
史跡、名勝および天然記念物として指定されます。

これらのうち特に重要なのが、
特別史跡、特別名勝、特別天然記念物に指定されます。

⑤文化的景観

文化的景観は、
地域における人々の生活や風土によって形成された景観地が対象です。

文化的景観で景観法に規制する景観計画区域または景観地区内にあるものの中から、
特に重要なものを重要文化的景観として指定します。
2020(令和2)年1月現在で65件が登録されています。

文化的景観も近年における文化財の拡張領域に属するもので、
2005(平成17)年の文化財保護法の改正で文化財として規定されました。

改定された文化財保護法では、
文化的景観は「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」と定義されています。

文化的景観が文化財に組み込まれた背景には、
登録文化財の創設と同様に、
急速な都市化の開発によって、
その地域特有の棚田や里山が失われていく事例の増加がありました。

都市化の進展とともに地域の固有の喪失に直面し、
人々の生活や風土に根差した地域特有の景観の重要性が見直され、
これらの保護することで歴史的環境保全を行う必要性が認識されるようになりました。

⑥伝統的建造物群保存地区

伝統的建造物群保存地区は、
城下町、門前町、宿場町、寺内町、農村、漁村、港町などにおいて、
周囲の環境と一体となって歴史的風致を形成している伝統的な建造物群が対象です。

重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)
これからの中で特に価値の高いものを選定したもので、
2019(令和元)年12月現在43都道府県100市町村120地区が登録されています。

伝統的建造物群保存地区は、
1975(昭和50)年の文化財保護法改正により新たに文化財に加えられたものです。

これ以前には、
歴史的建造物を単体、
あるいはそのつながりで扱うというのが歴史的まちなみ保全の考え方でしたが、
面的広がりをもつ空間であるまちなみそのものを文化財として扱うことで
保全を図るようになったという点で大きな変化でした。

日々の生活空間をそのまま指定することから、
文化財保存と同時に、まちづくりの課題も多く含んでいます。

保護制度では、外観の変更について制約を課す一方、
生活維持のための内部の改装などについて自由度を与えるなどの特徴があります。

‟まちなみ保存”におけるこれまでの動き

では、全国でまちづくりにおける歴史認識がどのように変化してきたのでしょうか?

それは、地方自治体における、
まちなみ保全のための条例制定などの動きにみることができます。

1970年代 全国的な‟歴史まちづくり”のはじまり

歴史環境保全のための条例のうち最も初期のものとしては、
1968(昭和43)年の金沢市伝統環境保全条例があります。

この条例は、
都市再開発と伝統環境を調和させ新たな伝統環境を形成して
保全・継承することを目的とするもので、
全国に先駆けた、条例によるまちなみの歴史的環境保全の動きです。

このあと、1970年代にかけて、
条例やガイドラインを制定して、
地区指定、建築指導、届け出・許可制度、補助金交付などの方法で
歴史的環境の保全を図ろうとする事例が増加しました。

これらの条例制定の背景には、
開発により伝統的環境や都市景観が失われることへの危機感がありました。

1972(昭和47)年に策定された
横浜市山手地区景観風致保全要綱は条例ではありませんが、
幕末の横浜開港以来形作られてきた歴史景観や眺望が、
1960年代後半以降の宅地開発やマンション建設によって影響を受け始めたことから、
その保全のために要綱が策定されました。

1970年代には行政による条例などの制定による動きとともに、
まちなみ保存のための全国の関連団体等の連携組織の設立があります。

1973(昭和48)年には
「歴史的景観都市事務連絡協議会」(現「歴史的景観都市協議会」)が、
文化財を活用した歴史的まちなみ保全に関する課題の協議を目的に、
京都市の働きかけによって設立されました。

現在まで全国各地で毎年1回総会を継続して開催し活動を行っています。

市民主体の連絡組織としては、
1974(昭和49)年に南木曽町妻籠、永谷氏有松、橿原市今井町の住民によって、
まちなみ保存や歴史を活かしたまちづくりの情報交換などを目的として
「町並み保存連盟」(現NPO「全国町並み保存連盟」)が組織されました。

1980年代 歴史を活かした「道づくり」「住宅づくり」へ

1980年代には建設省によって、
歴史、文化などを活かしたモデル的な国の補助制度として、
「歴史的地区環境整備街路事業(歴みち事業、1982年)」
「シンボルロード整備事業(1984年)」など、
賑わいの道づくりの実施地区を選定し、
拡幅などの道路構造だけでなく、
地区の環境の面からまちづくりの支援をする制度が創設されました。

住宅づくりや住環境整備の支援を目的とした事業では、
「地域住宅(HOPE)計画」「地区住環境総合整備事業」(1986年)、
「街なみ環境整備促進事業」(1988年)などが実施されました。

1980年代は街路や住環境の整備目標に、
歴史的環境や景観の保全などが取り入れられるようになる移行期、節目の時期でした。

1990年代 近代化遺産の発展

1990年代に入ると、
産業、交通、土木などの近代化遺産を文化財の範疇とする
初めての近代化遺産総合調査が実施されました。

1993年には
秋田市の藤倉水源地水道施設群馬県松井田町の碓氷峠鉄道施設
重要文化財の指定を受けました。

2000年代 「景観法」と「歴史まちづくり法」の制定

国土交通省は2003(平成15)年に「美しい国づくり大綱」をまとめ、
美しいまちづくりに向けた政策の方針を公表しました。

そしてこれを受けて、
良好な景観の形成促進を目的とした「景観法」が、
翌2004(平成16)年に制定されました。

さらに、2005(平成17)年の文化財保護法の改正により、
文化的景観が文化財として追加されました。

文化庁は文化審議会の諮問を経て、2008(平成20)年に、
文化財を核としたまちづくりを目指す計画である
「歴史文化基本構想」を提唱しました。

従来単体で扱ってきた文化財を
当該地域において特定のテーマに沿ったまとまりのある関連文化財として扱うこと
を特徴としています。

文化財は指定、未指定にかかわらず幅広くとらえて群として選定し、
これらの関連文化財群と一体となって歴史環境を創り出す地域を
「歴史文化保存活用区域」として指定するものです。

歴史文化基本構想を策定することによって、
地域に潜在している文化財の価値を再発見し、
それらを活用することで文化財を核とした環境の保護・整備を促進し、
文化財への理解を促し地域との連携強化を図っています。

歴史文化基本構想が公表された同じ2008(平成20)年には、
自治体が進める歴史を活かしたまちづくりを後押しするための仕組みである
「歴史まちづくり法」が制定されました。

地域の文化財を活かした、歴史まちづくりをやろう!

このようにして、我が国の‟歴史まちづくり”は進んでいきました。

開発によって破壊されてしまう可能性があるまちの歴史や文化財を守り、
まちなみ保存を行うことで地域活性化を実施している地域は、
いまや全国各地にあります。

まずはお住いの地域や自治体の
歴史まちづくりの取り組みや計画を確認してみましょう!

文化財はその地域の歴史まちづくりを進めていくうえで、‟重要な核”となります。

地域にある文化財を活かした‟歴史のあるまちづくり”を実施していきましょう!

あなたは、自分が住んでいるまちで本当に「やりたいこと」をできていますか?

↓↓↓やりたいことを実現させる具体的な方法は以下↓↓↓

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