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あなたも見かけたことがないでしょうか?
子どもたちが近所の公園で「携帯ゲーム機」や「カードゲーム」で遊んでいる姿を…
そして、そんなときに、
「子どもなんだから、もっと体を動かしたほうがいい」とか
「最近の子どもは、だらしない」と思ったことは?
しかし、
一体なぜ子どもたちは、わざわざ公園まで来て「ゲーム」をしているのでしょう?
あなたは考えてたことがありますか?
今回は、子どもたちが公園で「ゲーム」をする理由について、考えてみたいと思います。
- ご家庭にお子さんがいる方、今後子育てをする予定のある方
- 公園をよく利用することがある方
- 地域での活動を頑張っている方
- 「教育」について関わっておられる方 など
目次
子どもたちの運動不足が深刻化している
現代の子どもたちは、昔の子どもと比べて体格がよくなっている反面、体力は減少しており、肥満をはじめとした生活習慣病のリスクが高くなっています。
子供の体力の推移(すいい)について:文部科学省 (mext.go.jp)
どうして、今の子どもたちは「体力が減少」してしまったのか?
何が原因なのか?
その主な理由として、以下の3つが考えられています。
- 塾などによる学習時間の増加や、室内遊びの増加
- 空き地や路地など、子どもが気軽に遊べる場所の減少
- 少子化や習い事などでの一緒に遊べる友達の減少
これらを見る限り、どうやら子どもたち自身よりも、子どもが置かれている環境の変化に大きな問題があると言えそうです!

個人差はあるにせよ、
本来、子どもは家の外で体を動かして遊ぶことが好きなはず・・・
昔の子どものほうが、今の子どもよりも、お外遊びが好きだったというのは、少し考えにくいのではないでしょうか。
考えれば考えるほど、「今の子どもたちが、だらしなくなった」というのは的外れな指摘なのではないか、と私は思うようになりました。
昔は空き地や路地でメンコやけん玉、コマ、お手玉をしていたが、遊べる空き地や路地がなくなってしまった分、今は公園で携帯ゲームやカードゲームをするようになった、と考えるのが自然だと思います。

しかし、公園に行けば遊べるスペースはたくさんあります。
なのになぜ、子どもたちは公園の片隅にみんなで集まって、「ゲーム遊び」に興じるのでしょうか?
それには、実はまちなかにある公園の特殊な事情があるのです!
子どもたちにとって、公園は「遊びにくい場所」
よく見ると・・・
公園の中には看板がたくさんあることに気がつきます!
なぜ看板がたくさんあるのでしょうか?
もちろん「お店の宣伝用の看板」ではありません!
そこにはこのように書いてあります。
「ボール遊び禁止!」
「スケートボード禁止!」
「大縄跳び禁止!」
「花火禁止!」
「大声禁止!」
「バーベキュー禁止!」
「芝生への立ち入り禁止!」
そうです!
公園内での禁止事項が書かれた看板が、あちらこちらに立っているのです!

「怪我をするから」という理由で遊具が撤去されたり、「ゴミが散らかるから」といって飲食禁止になっているところもあります。
さらには、合唱禁止、自転車禁止、ペット禁止、挙句の果てには遊戯やスポーツを禁止しています。
そうなれば、「かけっこ」「鬼ごっこ」「かくれんぼ」すらもできません。
これでは、「公園は遊ぶ場所ではなかったの?」と首をかしげたくなります。
今でも子どもたちに人気のスポーツは、「野球(ソフトボール)」や「サッカー」「ドッジボール」などです。
しかし、まちなかで子どもたちが「野球」や「サッカー」などのボール遊びをできる場所はほとんどありません。
公園でできないのであれば、一体どこでボール遊びをするのでしょうか?
大人たちはそんなことを何も考えずに、
どんどんと禁止事項を増やしていき、
子どもたちが遊べる場所を奪ってしまっているのです!
じつは私も、子どものころ、友達と野球をやりたかったのですが、野球ができる場所が近所のどこにもなく、幼い頃に野球で遊んだ記憶はほとんどありません!
「野球人気が昔よりも低迷している」という話をよく耳にしますが、もしかしたらこのようなことが影響しているのかもしれません。

今の子どもは、「習いごと」で運動をしている
子どもの体力が低下していると話しましたが、これは「平均値が低下している」ということであり、さらに問題視されていることは「子どもの体力の二極化」です。
全国体力調査によって明らかになったこと (mext.go.jp)
すなわち体力のない子は、その体力が極端に少ないということです。
子どもたちの人気の習い事には、「水泳」や「体操」「ダンス」「空手」などがあります。しかし、いずれもあまり公園でするようなものではありませんよね。
また「遊び」というよりは、「お金を払って教室に通い、大人に指導してもらう」というような内容のものが多いです。
すなわち、今の子どもたちにとって、
スポーツは、「遊び」ではなく「習いごと」なのです。
しかし、習いごとである教室やスポーツクラブは、「勝負に勝つ」ことを重要視される傾向にあります。
そのため、運動が苦手な子はそのような環境に馴染めず、ますます運動嫌いになってしまう可能性があります。
そしてそもそも「習いごと」ができない子どもは、運動する場所も一緒に運動する相手もいないという状態となってしまっています。

公園は「子どもたちの場所」ではなくなった
ところで、なぜ公園は「禁止事項」ばかりになってしまったのでしょうか?
これには法律が大きく関わっています。
本来、公園は「子どもたちが安全に遊べる場所」でした。
ところが、1990年代に入ると少子高齢化の流れで都市公園法が改正され、子どものための「児童公園」が、いろんな世代のための「街区公園」に変更されました。
そこで公園は、高齢者も幼児も障がいのある人も、あらゆる人が、集い、安らぎ、遊べる場所として考えられるようになりました。
しかしその後、住民から苦情が出てくるたびに、管理者である行政が禁止看板を立てていくという現象があちこちで起きました。
少しでも危険を及ぼす可能性のあるものは、子どもたちの主張が聞かれることもなく、どんどんと禁止にされていったのです。

子どもの遊び声は「近所迷惑」
さらに近年、公園などで「子どものあそび声がうるさい」というトラブルが増えてきているとのことです。
なぜこのようなことが起きているのでしょう?
そこには「地域コミュニティの低下」が影響しています!
「音がうるさい」と感じるかどうかは、その音を聞く人の心理状態が大きく影響します。
日頃から顔を合わせ挨拶をしたり話をしたりする関係であれば、相手に対して「うるさい」と感じることはありません。
しかし、どこの誰かもわからない子どもが、大きな声を出して遊んでいると、それをストレスを感じてしまうのです。
また、以前は当事者間や自治会などの地域コミュニティで自律的に解決してきたシステムが機能しなくなり、住民はその機能を行政に求めるようになった結果「看板」がたくさん増えているのです。

子どもたち自身で地域を変えた!!
そんな中、東京都板橋区の小学生たちが、区議会に異例の陳情をしました。
陳情の経緯と内容は以下のようなものです。
いつものようにサッカーをしようと近所にあるグランドに集まったとき、子どもたちは「ボール遊び禁止」の張り紙を目にしました。
遊んでいた場所が突然奪われてしまった彼らは、他に遊べる場所がないか、近くの公園をいろいろと調べてみますが、自分たちが思っているようなボール遊びができる場所はどこにもありません。
そこで、「自分たちは困っている。何とかしてほしい」と区議会の陳情書を出したのです。
その結果、彼らの要望の一部が認められることとなり、その後サッカーができるようになりました。

「サッカーや野球であれば、校庭でやった方がいい」という意見もあるでしょうが、今は防犯上、放課後や休日に校庭へ自由に入れるような学校はあまりありません。
実際には長い時間と大変な苦労がありましたが、この板橋区の子どもたちは、自分たちの力でまちのルールを変えることができました。
しかし、基本的に地域のルールは『大人』が決めており、そこに「子どもの意見」はほとんど反映されません。
「反映されない」どころか、子どもの意見を「聞く」ことさえ、されていないのが現状でしょう。
「外で思いっきり遊びたいけど、近所に遊ぶ場所がない」。
今の子どもたちの多くはこう思っているのです!
いや、もしかしたら、そのような環境が当たり前となっており、疑問すら感じていないのかもしれません!
遊ぶ場所がないから、
公園の片隅に固まって仕方なく「ゲーム」をしている…
子どもたちがそのような状況にあることを、大人たちがもっと知る必要がある、と私は思うのです。

今求められる「公園のアップデート」
「みんなのために」と作られた公園ですが、禁止事項が多く、使い勝手の悪い公園は誰も利用したいとは思いません。
以前、別の記事でも書きましたが、「みんなが使えるもの」は結局、「誰も使えないもの」になってしまうのです。
これが「行政が行うまちづくりのジレンマ」です。
そしてその問題は、誰からの要望がない限り、そのまま放置されてしまいます。
なぜなら、管理する側は「誰も使わない」ほうが管理がしやすいからです。
さらには、少しでもトラブルの種になるようなものは、次々に禁止されていきます。
まちなかの公園で、「苦情」から「禁止事項」が知らない間にどんどんと増えていくことは、あまりよい状況とは言えないでしょう。
適切な公園のあり方として、「この場所なら○○をしてもよい」「何時から何時までなら○○はオッケー」など、地域で話し合って公園の使い方を決めることがとても大切なのです。
それはもちろん「子ども」も含めて!
「○○したらダメ!」ではなく
「○○やってオッケー!」を増やしていきましょう。
そして、近所の公園のことをみんなで考えていきましょう!!

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